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インターナショナルワインチャレンジ2020 ロンドン審査会報告(審査会全体編)

パネル審査員吉武理恵さんからのレポートです。

 

2020年10月29日から11月1日までの4日間、ロンドンにおいて本年のIWC(International Wine Challenge)Sake部門の審査会が開催されました。

今年で14回目を迎える大会は、開催地であるロンドン市内のCovid-19の警戒レベルがMedium, High, Very Highのうち「High」の地域に指定された事から、
安全な会場として政府認定された施設内に於いて、政府の定めた規定に沿い、審査員やスタッフの健康と安全を最大限に考慮した上で、英国の総勢33名のジャッジ(審査員)が集い、実施する運びとなりました。

政府の規定と専門のアドバイザーの指示に沿い、審査テーブルの間隔は3m以上、審査員の間隔も十分に取られた安全性の高いレイアウトの中、初の着席審査となりましたが、審査員からは審査に集中できると好評でした。

審査は2部屋に分かれ、テーブルに3人ずつのグループに分かれてディスカッションをしながら進められます。期間中はこのグループでソーシャルディスタンスを保ちながら、審査が行われました。

今年はIWC審査会のジャッジは下記4つの役割に分かれており、

Co-Chairman:この審査の最高責任者 3名
Panel Chairman:各審査テーブルの取りまとめ責任を持つ上級審査員 10名
Judge:一般審査員 
Associate:初めて審査に参加する場合はAssociateとなります。

1日目、2日目前半はその酒がメダル受賞するに値するか、メダルに届かずCommended(推奨酒)かOutに振り分ける作業を行います。

各テーブルでCommendedまたはOutと判断されたものは、全てCo-Chairmanに集められ、その判断で良いか2回目の審査がなされます。
この審査でも結果が変わらない場合はこの段階で結果確定ですが、Co-Chairmanの判断でメダル審査に戻したほうがいいものは、3日目の審査に進みます。

1日目は普通酒→本醸造→純米→吟醸→大吟醸→純米吟醸→古酒の7部門の審査、
2日目の前半は純米大吟醸→スパークリングの2部門の審査が行われました。
また、明らかにFault(欠陥)があると判断されたお酒は、事後で全ての審査員がチェックできるように分けられます。TCAやSulfide(硫化)、Volatile(揮発)、Oxidation(老ね)などがチェックされるポイントです。

2日目の後半と3日目は、メダル受賞に値すると判断されたお酒を、今度はゴールド、シルバー、ブロンズの何に該当するか再審査されます。

この両日は、各テーブルでディスカッションをし、個人評価のあとにグループでコンセンサスを得るために納得がいくまで意見交換する作業を繰り返します。
また、テイスティングコメントをしっかり書き込んでいき、このコメントは結果発表とともにホームページ上で確認、またメーカーにもフィードバックされます。

その後、各テーブルで決めたメダルの色について更にCo-Chairmanが確認をしていきます。
特にゴールドのお酒については厳しく審査されていきます。

最終日の4日目は、Co-Chairman 3名、Panel Chairman2名の5名だけで審査をし、
ゴールドに選ばれたお酒からまずは最も優れた、部門最優秀にあたるトロフィーを選んでいきます。

部門の中でトロフィーが1つと決められない場合、トロフィー候補となったお酒だけで再審査されます。そして1つだけがトロフィー、惜しくも選ばれなかったものの特に秀でたものにリージョナルトロフィーの賞が与えられます。

1人ずつ1テーブルに分かれて座り、各自テイスティング後に挙手による投票が行われ、票が分かれた場合は審査員全員で審議して確定する方法となり、通常よりも長時間に渡って審査されました。

最後に、9部門それぞれのトロフィーからチャンピオン・サケを決める最終審査をします。
9つのお酒をテイスティングした後、ここではディスカッションをせずに一人ずつ投票し、他のCo-chairmanたちにも共有されません。主催者が結果を確認し、チャンピオン・サケが決定します。

 

メダルの発表は11月26日予定です。  

トロフィーとチャンピオン酒の発表はロックダウンの状況により変わる可能性がありますので未定です。


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